come-backer の日記

山本マサさんよりも長く現役を続けることが人生目標のアマチュアピッチャーが書いてます。

【読書感想】清須会議/三谷幸喜

 歴史小説ってのはどうにも苦手で敬遠してたんだけど、この本は三谷作品だけに面白く読めたわ。何しろコトバが現代語風にくだけてる書いてあるところが非常にわかりやすい。昔の武将たちも同じ人間で、悩んだり、迷ったり、落ち込んだり、喜んだり、そんな人間らしさ全開のはずなのに、よくある歴史小説は言葉遣いが難しいから、人間の機微みたいなところは今イチ伝わってこないことが多いんだよね。それをわかりやすく表現するところがさすが。

しかし、秀吉は先見性がすごいね。人心を読む力も段違い。勝負所もわかってるし、作戦も用意周到。目的達成のためならいくらでも嘘をつける。こんなしたたかな野心家は保守派から見ればすごい危険人物なわけで、こんな奴にのし上がられていいようにされてたまるかという思いが強くなるのも当然のこと。でも、秀吉はそんな独裁政治をしたいわけでなく、戦乱の世を終わらせることが世のためだという思いから発動しているところが、なんだかホッとする。また、その辺をさりげなく書くところが嫌みがなくていいよね。

戦国のツワモノが集まって利害調整の会議を行うのだから、生臭くなるのは当然なのに、すべての登場人物がどこか愛すべきキャラクターとして描かれているところが三谷作品ならではなんだろうな。おもしろいよ、ぜひどうぞ。

清須会議

清須会議